2018年9月6日木曜日

JUNGLE x DNB Talk – Dx(Soi) + DJ YAHMAN(Tribal Connection) + Gatani


Murder Channel Talk Show Vol.3にておこなったプログラム「JUNGLE x DNB Talk」を公開!

当日は日本のJUNGLE/DNBシーンを長きに渡って牽引しているDx(Soi)さんとDJ YAHMAN(Tribal Connection)さんのお二人に参加していただき、90年代から今に続くJUNGLEとDNBの魅力的な関係性について非常に濃厚なお話を沢山お聞きしました!
最近JUNGLEとDNBを好きになった人や興味がある人、そして昔からチェックしているマニアな人も楽しめる素晴らしい対談記事となりました!


そして、9月8日にはYAHMANさん率いるTribal Connectionの9周年パーティーが開催されますのでこの記事でJUNGLEが気になった方は是非遊びに行ってみてください!


JUNGLE PARTY Tribal Connection 9th ANNIVERSARY
@ 虎子食堂 Toranokoshokudo Shibuya Tokyo
2018.9.8SAT 23:00start
Free Entrance

Tribal Connection DJs:
YAHMAN, JUNGLE ROCK, 大出泰士


YAHMANさんには前回のJUNGLE TALKにL?K?Oさんと一緒にご出演して頂きましたが、その後お二人でJUNGLEのパーティーをやられてましたよね。

YAHMAN(以降Y).  トークショウがキッカケで盛り上がってしまってパーティーにまで発展してしまって(笑)。当日はJUNGLEをテーマにとても良い感じにドロドロになってましたよ。ひたすらJUNGLEを交互でかけあっていて、でも最後はブルースで終わるっていう(笑)。二回目も考えていて、多分いつかまたやりますよ。

YAHMANさんはCHAMPION BASSをオーガナイズしていて、DXさんはSoiをオーガナイズされていますが、お互いのパーティーを知ったのはいつ頃ですか?

Y. 2000年の春頃のSoiから知った。かっこいいなと思った。

DX(以降D).CHAMPION BASSを知ったのは、いつだろう?当時はレコード屋のフライヤーやJungle Webっていうイベントカレンダーもよくチェックしていたから、始まってすぐに知ったんじゃないかな。最初のうちはそんなに交流がなくて、印象としても普通にラガジャングル好きなクルーなんだなとか。あと当時交流が少なかっただけなのに、CHAMPION BASSクルーとSoiクルーは仲悪いとか、Disり合ってるとか、2chの掲示板に勝手に書かれてた(笑)。で、そのうちRobさん(ROB SMITH)がAIRに来た時に、店からブッキングしたいDJを聞かれて、CHAMPION BASSクルーを指名して、それから徐々に交流していったような記憶が。違うかな?最初は東北出身つながりでSAZABIと仲よくなったんだっけな?曖昧です。

DXさんにご出演して頂くのは始めてなので初歩的な所からお聞きしていきたいのですが、まず音楽的なルーツを教えてください。

D. 普通にありがちなんだけどIRON MAIDENとかJUDAS PRIESTのメタルから入ってハードロックからパンク、ニュー・ウェーヴに流れてその時は地元の福島でバンドとかもやってたりしてました。そこからRUM DMCの「Walk This Way」を聴いてガツンとやられてヒップホップを好きになって。高校の時に東京に遊びに行って確かLondon Niteから派生したパーティーだったと思うんだけど、TINNIE PUNXと大貫憲章さんがDJをしていてお客さんがめちゃくちゃモッシュしていて衝撃だった。それから東京に上京して来てからはヒップホップをメインでずっとやってましたね。同時期にスカとかロックステディも知っていって新宿や西麻布の小箱に遊びに行ってました。

本格的にDJをされたのはいつ頃からですか?

D. ヒップホップを掘っていく内にレアグルーブに出会うんだけど、そこで元ネタを掘る事に興味を持って自分でもレコードを集め始めていってDJを始めました。それが二十歳くらいかな。ヒップホップ、レゲエ、レアグルーブとかを混ぜこぜにしたオールミックス主体でやってましたね。そんな中、アシッドジャズのムーブメントが起きたんだけど、レアグルーブの感覚にとても近かったのでまんまとアシッドジャズに飲み込まれて。そこからDJ Krushさんとかトリップホップが出てきて。そういったインストがメインの音楽を好きになっていきました。元々UK解釈の音楽が好きでSMITH & MIGHTYとかREBEL MCとかのレゲエやラガの要素があるブレイクビーツも好きだったので、その当時は「ブレイクビーツの総合商社」みたいなDJをしていて、そしてJUNGLEに出会っていくという。

その辺りのレゲエ/ラガの要素があるブレイクビーツは当時だとラガハウスとかって言われていました?

Y. あの頃ってラガハウスとか言っていなくて単純にハウスとかテクノにカテゴライズされていたはず。

D. 当時はRAVEの知識も経験もまったく無かったから。XLもProdigyは知ってたけど、BEAT UKの人達みたいな(笑)。DJでかける音楽ではなかったかな。自分はJUNGLEと出会うまではハードコアやRAVEとは繋がっていなかった。

アシッドジャズとはどんなジャンルだったんでしょうか?

D. 当時のファッションも含めてイギリス人らしい編集者的な感覚を持ったとてもUKっぽいジャンルかな。60年代のNorhern Soulとかの昔っぽい音を再現するバンドが出てきたり、掘る対象が昔のファンク、ソウルだけじゃなくて昔のジャズで踊らすよ、みたいな。

それではJUNGLEとの出会いとはどんな感じだったのでしょうか?

D. 多分だけどSOURのコンピをCiscoでたまたま見つけたのが最初かな。UK Apachi & Shy FXの「Original Nuttah」も収録されてて、確か94年だったと思う。UKに行っていた人の話とかレコード屋のポップとかを見て何となくJUNGLEは認識していたんだけどね。当時アンダーグラウンドカルチャーをメインに紹介する媒体も少なかったので限られた雑誌と友達とレコ屋から得た情報が何となく交わっていって。初めてJUNGLEを聴いた時はBPMが速い!って(笑)。こんなに人間の生理に根ざしてない音楽もないだろうって思ってましたね(笑)。

当時は何処でJUNGLEのレコードを入手していたんですか?

D. 僕は大体渋谷で掘っていたんだけど、当時だとCiscoや地下の頃だったDMR、Mr. Bongoの3つかな。Mr. Bongoは栗原大君、ジャームズ・P・バイナー、今はハウスをやっている長谷川賢司君、山崎真央、それからDNB勢ではKAJI君、AKIRA君とかが居てとても重要なレコ屋でしたね。

Y. あの頃WAVEの宣伝用のモニターTVでJUNGLEが超熱いって内容の映像が流れてたのを覚えている。Junglettaっていう女の子のダンサーがJUNGLEで激踊りしているっていう(笑)。俺はその頃はテクノ買いに行っていたんだけど、かっこいいなとは思った。



その頃に日本でJUNGLEをプレイされていたのは?

D. 今振り返ってみると一番早かったのはDJ FORCEかな。彼はハードコアのシーンを90年代初頭に体感していてUKでRAVEにも行っていたのもあってUKの目線を持っていた。あとはDAZZLE-Tもキーパーソンの一人。彼も94年頃にUKのJUNGLE RAVEに行って衝撃を受けてきた人で。僕は行けていなかったんだけど、DAZZLE-Tは94~95年にGoldのサブフロアでJUNGLEのパーティーを始めていた。その後はリズム・フリークスとかも活動していてMANIAC LOVEでHUTCHがKAJI君とミッドナイトレインボーというパーティーをやっていた。95年だとJUNGLEもありながらMetalheadzも出てきてGoldieのアルバムがリリースされた年だったからね。HUTCHはMetalheadzのBlue Note Sessionにも行ってきて実際に当時のシーンを体感して来ていたのも大きかったと思う。
MANIAC LOVEはテクノの箱だったからテッキーなサウンドで遊ぶ人達もだんだんJUNGLEに引き込まれて行っていた。SOURのショウケースがMANIAC LOVEであったりとか。自分は「ブレイクビーツの総合商社」としてDJをしていたんだけど、その頃からレコードバックに徐々にJUNGLEが増えていきましたね。

DNB(ドラムンベース)がダンスミュージック・シーンに登場したのはいつ頃でしょうか?DNBはJUNGLEから派生したという認識は正しいと思いますか?

D. まあ、96年の1月1日からJUNGLEからDNBになりましたとかではないから(笑)。元号DNBとかあったら便利かもだけど(笑)。自然と移り変わっていったんじゃないかな。JUNGLEとDNBは共存していてルーツも近いから何処から枝分かれしたのかはハッキリとは解らない。文脈やサウンド、シーンの流れは共存していたと個人的に思います。

Y. 今回の為にいろいろと掘り返してみたんだけど、そしたら92年にはブレイクビーツをDNB的に展開する曲があったので、もしかしたら80年代末から90年代初頭には既にあったのかな。レコードを高速回転させて遊んだという流れを見れば90年初頭にはDNBのフォーマットはあったのかもしれない。DNBという言葉が無かっただけでね。
例えば今日持って来たSkeleton Recordingsから93年に出たDJ Alのこれとかを45回転にしたらDNBとも言える。この頃に既に形はあったのかもしれない。


単語としては94年にはREMARCの「Drum N' Bass Wise」がありましたよね。

Y. あのDrum N' BassはレゲエのDrum N' Bassだから。DNBという単語が生まれるキッカケとも言えなくも無いけど多くあった要因の一つだと思う。

D. 91年のSMITH & MIGHTYの「Killa」という曲でもDrum N' Bassという声ネタがあるしね。これもレゲエの意味。


同じくREMARCの「R.I.P.(DJ Hype Remix)」ではDNB的なベースのアプローチがあって何となくJump Upの要素も感じさせるんですが、94~96年でJUNGLEとDNBの間みたいな中間的なトラックで印象的なのはありますか?

Y. 96年とか、JUNGLEかDNBかってハッキリ言えない、別次元かも、みたいなのがたまにあって。タイトルまんまなダークなオープニングで辛い感じと思わせてからのベースラインがフザケすぎてる Redlightの「The Future Is Dark」とか。


D. 敬愛するDJ KRUSTの95年作「Poison」では、乱れ打ったビートを聞き進めるうちに、反復性のあるビートプログラミングにハマり、そのうち中毒性のあるドープなベースラインとSEが入ってくると、もうこのKRUST沼から抜けられなくなってます。JUNGLEの手法を使いながらDNB的な効果を得るというか。
Krust - Poison
https://www.discogs.com/ja/DJ-Krust-Poison-Set-Speed/release/5574?ev=rr

ちなみに、アートコアがジャンル化したのはいつ頃でしたか?

Y. 95~96年に色々と細分化してきてメディアがアートコアとカテゴライズしてしまえば売る方もやり易いだろうし。実際に95年ごろにアートコアという単語が出てきても、その3~4年前に既に誰かが作っていたかもしれないしね。絶対的な歴史はない訳で。

D. メディアと売り場の視点だね。

DNBはアンビエントの要素を取り込んだのも大きかったですよね。

D. そうだね。特にパッドとか空間を大事にしているアーティストとかにはアンビエント的な物を取り込む人は多かった。Photekとかね。

Y. Photekのこの曲とか完全におかしい。こういう曲はJUNGLEかDNBかと言われれば難しい。もうこの人の色だから。


D. この曲はDXの朝方チューン(笑)。90年代にDNBが出て来た時に面白がられたのが生バンドが出来ない事をテクノロジーを駆使する事によって1人で5人分の事が出来る所とかがバンド側の人達からも注目されたりしていましたね。

シーンの流れがJUNGLEからDNBへと移り変わった要因にMetalheadzの影響は大きいですか?

D. 2013年に4 HeroのDegoとGoldieがDBSに一緒に来日してDOMMUNEに出演した時に対談をさせて貰ったんだけど、そこでどうしても聞きたい質問があって。Goldieは昔からメディアを通してJUNGLEに対してアンチな発言を繰り返していて自分とJUNGLEには一切関りがないと言ってた。確かにGoldieの音の事をJUNGLEと言っている人は聞いた事が無くて当時からみんな彼の音はDNBといっていたしね。
だから、その真意を知りたくて。シーンとかサウンドメイキングとして違うのか、人間的な問題の拘りなのか、JUNGLEを否定しているのか肯定しているのか。それで質問したら、彼はやっぱり自分にはJUNGLEのエッセンスは一滴も入っていないと言い切っていて。でも、Degoが俺はJUNGLEと繋がっていると思うよ、と言い出して(笑)。同じ時代に近い場所に居たとしても個人差があるからまずます謎が深まった。多分、Goldieはサウンドマンでありながらグラフティ・アーティストでもあるから。Roni Sizeと同じく新しいアートフォームを自分達でやってやろうという意識が強かったのかな。JUNGLEっていう物よりも新しい名前が欲しかったのかもしれない。

Y. Metalheadzは完全にネクストレベルの事をやる、新しいアートフォームを作るという人達だからね。最初からDNBとしての考えがある。

革新的なリリースやレーベルの見せ方だったりとMetalheadzの勢いは凄かったですよね。当時のMetalheadzのパーティーにはいろんなセレブ達が遊びに来てたのも有名で。

Y. CHAMPION BASSには菅野○穂が来てたけどね(笑)

D. それいいね(笑)。恵比寿MILKでJAH-LIGHTのシステムを入れてSoiをやった時にスピーカーの前にテーブルを置いてたんだけど、そのテーブルの上に渡辺○里奈が座っちゃった事があった(笑)。すみません、そこ座れないんですよって言いに行って(笑)。

ハードコアからJUNGLE、そしてDNBと時代と共に変化していったプロデューサーも多かったですよね。Adam F、DJ Hype、Total Science(Q Project)やDJ Zinc(Jack Ruby)、4 Hero (Tom&Jerry)、Roni Sizeとか。

D. Total ScienceはJUNGLEでもあるけど、どちらかというとRAVE感が強くてハードコアブレイクビーツだね。

Y. Total Scienceは今もそう。RAVE感があって基本的には昔から余り変わりはないのかもしれない。単純に時代の流れじゃないかな。JUNGLE期とかDNB期とかで分けない方がいいとは思うけど。いろんな音で自分を現したい人もいるだろうし、それは今の人と同じで。

その中でも個人的にピックアップしたいのがTechnical Itchなんですが、彼のDNBスタイルにはどんな印象がありますか?

D. Technical Itchは特別フェイバリット・アーティストではないんだけど、自分的にはDecoderというアーティストが好きでDecoderとセットな感じ。昔からTechnical Itchは裏方というイメージが強いですね。DNBのど真ん中しか聴かない人よりも周りを掘っている人が好きな印象がある。僕が一番好きだったのは90年代後半のMoving ShadowからリリースしていたTechnical Itchはハード過ぎずに異様な緊迫感があって使ってましたね。

Y. 丁度今日Technical Itchのレコードを持って来てるんだけど、コレは音がかなり良くて今も十分使える。タイトル通りのロッカーズネタ。


当時日本ではJUNGLEのDJもDNBをプレイしていたんですか?

D. 当時は逆に分けてなかった。みんなJUNGLEもDNBも全然使ってた。日本で手に入るJUNGLEっていうとラガが多かったのもあって、セットの中でラガとかレゲエのフレイバーが好きな人はJUNGLEが多いとか。それくらいの違い。


DNBのフォーマットを作ったプロデューサーとは誰なんでしょうか?175BPM前後で反復するビートになったのはいつ頃からだと思いますか?

D. 誰がフォーマットを作り出したかまでは解らないけど、96年から97年はUKではドラムンベースの黄金期と言われていて節目となった時期で、その頃にはまだJUNGLE的な刻みはあるんだけど圧倒的にリズムがミニマル化していったかな。

その時期にRoni Sizeがマーキュリー賞を取ったりしましたよね。

D. DNBになりだした弊害じゃないけど当時音を作れた人はお金になった訳ですよ。メディアだけじゃなくてレコード会社が次の金の生る木を探していて。Goldieが95年にアルバムを出してからはどんどんみんな大手と契約し始めた。96年でDNBの簡略化が進んでトップ・プロデューサー達が契約して97年に形になってくるんだけど、その頃からテンプレート化していったんじゃないかという声も出始めてきた。
Roni Size率いるFull Cycleは90年代初期からブリストルで切磋琢磨していて自分達のコミュニティの中でアイディアを出し合って他の奴等を出し抜こうとしていた。彼等もDope DragonでJUNGLEよりな事をしていた一方でFull Cycleでどんどんとミニマル化していって。切り替わったというよりもずっと自分達がやりたい事を追及していって時代やテクノロジーと共に進化していった。確かにJUNGLEとDNBとがハッキリと分かれると面白いんだけど、そうはならない。

Full Cycleでお気に入りのリリースは?

D. 今日もレコードを持って来ていたんだけど、DJ Krustの「Break Ya Neck」とか。Krustの魔術的なハメ技が炸裂している。これは所謂DNBのフォーマットでジャンプアップ感もありつつなんだけど縄跳びみたいなヒュンヒュンしたSE使いが独特で。みんなパソコンで作るようになって小節数が目で見えるようになってお約束な展開になりがちだけどKrustは変な所に変な上物をぶっこむ。人を音でぶっ飛ばす術を知っているよね。この曲もそうだけどミニマルで延々といけるのがDNBの強みなのかな。

Y. 俺はDNBをプレイすんだったらJUNGLEで延々刻んでたまにこういうKrustみたいなのをかけてまた刻みに戻るっていう使い方をするとより効果的でJUNGLEとDNBの良さがどっちも引き立つ。

D. 俺はまったく逆で延々淡泊なループのDNBにアーメンの刻みをぶっこむとすごく盛り上がるね。

DNBがテンプレート化したのはクラブトラックとしての完成度を高めていった結果だったんでしょうか?

D. 商業的な話をいったんおいておいて。元々JUNGLEの時にブレイクビーツを切り刻むとかアーメンを使って808で鳴らすとかの実験があった訳だけど、90年代後半になるとテクノロジーが進化していってベースの音をどんどん遊べるようになった。ベースで個性を作る分、ドラムを簡略化させて、サウンドメイキンでアーティストやレーベルのカラーを強めていった。オリジナリティを追及していって差別化していったとも言えるのかなと。

Y. 商業的なパッケージとクラブをまったく別にとらえている人も居るし、一緒に話を進めないほうがいいとは思う。勿論、合致させて展開する人もいたろうけどね。そうじゃないタイプもいるだろうし。

今だとSoundcloudで公開されているMIXを聴いたりYOUTUBEにUPされているライブ動画を見ればリリース前の最新のトラックやミックスはチェック出来ますが、90年代はシーンの熱気とかトレンドはどうやって掴んでいたんですか?90年代にリリースされた中で印象的だったMIXTAPEやMIXCDは?

D. ちょうどこの前レコード部屋を整理してたら、One NationやJungle Feverなど当時を代表するビッグパーティーの8本組ぐらいのMIXTAPEパックが幾つか出て来ました。あと、90年代末にはRenegade HardwareというレーベルのパーティーのMIXTAPEもよく聞いてました。ちょうど世紀末に向けてDNBがサイバー化していく中、ギリギリサイバー過ぎない音が詰まっていて、ここのでBaileyや当時若干10代後半だったFierceのプレイは最高!さらに極め付けは1999年から2000年に変わる、まさに1000年に一度のNew Years Eve Party@One NationでのBrockieのMIXCD。オープニングからの前半パートはいつ聞いても鳥肌モノで。。。(半永久的に続くので、これにて終了)

Y. 熱気はパーティーで体感して、トレンドは現場やレコード屋さんでチェックして友達からの口コミとか音楽雑誌の記事もその量りのひとつになった。ベースの抜き差しはハウスやテクノのDJ、勢いの部分はロックDJから、ファンクやらソウルのネタ感やブレイクビーツ感はヒップホップのDJから影響を受けたね。

これは凄い偏見なんですけど、DNBとJUNGLEの違いでパッと思いつくのはDNBにはJUNGLEよりも白人のプロデューサーが多いイメージがあるのですが。

D. その偏見を受けて立つとするとUKでは人口の比率は白人の方が多いのは勿論だけど、昔からブラックミュージック大好きな白人は一杯居ただろうし、JUNGLEをずっと聴いてた白人のキッズも沢山居ただろうし。単純にメディアとかレコード会社がDNBを一気に押し出して行って届かなかった層にも広まっていったんじゃないかな。

その時期(97年前後)で印象的だったレーベルとかはありますか?

Y. Trouble On Vinylとかかな。JUNGLEとDNBの間の様な展開を見せていたのとヒップホップ・レーベルのRawkusとも繋がっていてヒップヒップ的な音を取り込んでいた。

90年代後半ではヒップホップ・シーンでもオフィシャルでDNBのリミックスも結構ありましたよね。The Ganja KruはJay-ZとBeastie Boysのリミックスを作ってましたし。

Y. USでは早い段階でDNBとヒップホップは邂逅していてDNBプロデューサーのDJ CrystlはGroup HomeやShowbiz & A.G.、Jeru The DamajaをリリースしていたPaydayというヒップホップ・レーベルから95年にシングルを出している。他にも4 HeroはScarfaceのリミックスをしていて、俺はこのリミックスはJUNGLEとして聴いてる。これも95年か。Jazzstepの前だね。このスネアの音は相当良い。


JUNGLE/DNB双方にとって共通している部分としてはリースベースとアーメン・ブレイクの二つがあると思います。そこで、お二人のリースベース/アーメン・ブレイクが印象的だった曲を教えて欲しいのですが、まずはリースベースだと何がありますか?

D. 僕の中でリースといえばこの人っていうのが二人いて、その内の一人がRay Keith師匠。この曲はリースの原曲とほとんど変わらない音なんだけど印象深い。この人はJUNGLE期から活動しているけど今でもリースベースとアーメンを突き詰めていて最高。
Dark Soldier - The Ride
https://www.youtube.com/watch?v=bcPx3C57eDY

Y. DNBとかJUNGLEじゃないけどNIxon。MC GQが絡んでいるんだけどGQが絡むと大好きっていうのに最近きずいて(笑)。この曲はオープニングに丁度良い。


D. Traceの曲はリースベースにちゃんと下に潜ったベースを足していて当時は鳴ってたはずなんだけど、今のシステムで聴くと全然鳴らない(笑)。雰囲気は暴走族がふかしているような大迫力なんだけど薄いっていう。現場あるあるなんだけど(笑)。

それでは、次にアーメン・ブレイクの曲でお気に入りは?

Y. MC GQのレーベルでEmcee Recordingsから出たCyBinの「Roller」。アーメンの爆発力が凄い。DNBが盛り上がっている時に突如としてこういったアプローチの曲が出たのが驚きだった。これは自分にとって一生もんですね(笑)。
Cybin - Roller
https://www.youtube.com/watch?time_continue=124&v=ushNVAYIb5g

D. ベタベタなんだけど、DillinjaとLemon Dの「That Amen Trk !!」。イントロがあってブレイクがあって無音があって大爆発というお約束の流れなんだけど、それがいい。彼等がやっていたValve Recordingsはサウンドシステムでありプロデューサー・チームでありレーベルでもあって当時世界で一番ラウドだった。
Dillinjaの作る曲ってハードなんだけどうるさくない。自分のカッティングマシーンも持っているからサウンドシステムでの出音も含めて計算していて入口から出口まで全部管理するっていう(笑)。流石です。


ヒップホップやレゲエのヒットチューンから過去のファンク/ソウルなどの大ネタを使うというのもJUNGLE/DNBの面白い部分だと思うんですが、大ネタ使いで好きな曲とかはありますか?

Y. 映画『ロッキー』のアレを使ってるRude Bwoy Monty「Warp 10」とか。引用をこえてる感じの大ネタ使いにパーフェクトなトラックで笑って踊れるJUNGLE最高。


D. パッと浮かぶのは、ここでもしつこくRay Keith師匠の曲でいくと、Nick IngmanネタのRay Keith「The Reckoning(Remix)」とか、この夏あまりに暑くてよくかけた、Summer Madness使いのRude Bwoy Monty 「Summer Sumting」とか。そういえば、自分の結婚パーティーの登場曲でかけたのも、Rude Bwoy MontyのRockyネタ「Warp Ten(Heavyweight Mix)」でした(遠い目)。


日本のJUNGLE/DNBシーンにおいて重要なプロデューサーは誰だと思いますか?

D. 世界を股にかける日本人プロデューサーはMAKOTO、ENAなど何人かいますが、シーンにおいてというより、個人的な好みでいうと、一貫してJUNGLEフレーバーを貫く栃木のSivarider、今Berlinに行ってるハメ系ジャンプアップ・プロデューサーTomoyoshi、現在充電中だけど、日本人最高峰のベースラインの作り手Heavy 1あたりでしょうか。若手だとIttiやmaidableは曲作りだけでなく、音楽活動全体でアクティブな動きをしていると思います。

Y. 最近聴いた中で好きなチューンがあったのは、T5UMUT5UMU、STGM、Maidable、Limited Toss、DJ TAKUMI aka Amaretto、Oshirijima、栄免建設株式会社、DJ SHORT-ARROWなどかな。最近は専科ではなく色んな音を作る中にJUNGLE/DNBも含まれるプロデューサーもいて、単純にJUNGLEタグで追っかけるみたいなことは昔みたいにはできなくて、それも面白くて。俺はDJを2年ぐらい休んだこともあるから、把握してないことはたくさんあるから勉強中だし、誰がシーンで重要みたいな位置づけはしないで面白がりたくもある。

90年代末から00年初頭まではJUNGLEシーンはリリース数も極端に減ってある意味では氷河期だったと思います。何故90年代後半にJUNGLEの勢いは下がったと思いますか?その時期DXさんはJUNGLEシーンをどう見ていましたか?

D. JUNGLEシーンから生まれたサウンドやコミュニティがDNBシーンと融合というか、発展的解消というか、なので勢いが下がったというより、勢いをDNBに持ち込んでいったという印象ですね。なので、JUNGLEのブームに乗っただけのプロデューサーやDJ、MCは淘汰されたけど、JUNGLEシーンをサバイブしてきたプロデューサーやDJ、MCはDNBシーンの中でもJUNGLIST精神を持って活躍していたのではないでしょうか。だから、逆にいうと狭いジャンルとしてのJUNGLEシーンについては、特に意識してなかったかもしれません。

Y. 氷河期や勢いがどうのについては俺としては、*前インタビューしてもらった時の答えと変わらず、ジャングルに氷河期は無い、です。
*GHz Junglist Interview #7 DJ YAHMAN
http://ghz.tokyo/2017/08/22/ghz-junglist-interview-7-dj-yahman-tribal-connection/

2010年以降JUNGLEは世界的にリバイバルして今に至る訳ですが、JUNGLEがリバイバルした要因で大きな事とはなんだったと思いますか?

Y. JUNGLEは打ち込みの手法のひとつなので、175BPM以外でもその刻みはいけるし、ベースなどの音の出し方も同じくいける、ってことを2010年以降のJUNGLEと、いろんなジャンルと合体したリリースにより広めた。リバイバルではないとは思ってるけど、説明が長くなるよ(笑)。

D. 音楽シーンでも、ファッションシーンでも、絶えずリバイバルの動きが起こるからJUNGLEがリバイバルするのも当然だし、JUNGLE自体は常に色んな音楽の根っこにあるし、色んな音楽に派生したりしてたから単なるリバイバルっていう訳でもないし・・・。と言い出すと始まらないので、ここからは個人的な妄想ですが、サウンド面では実はDUBSTEPの存在が大きかったのではないかと思います。隙間が多いDUBSTEPならではの、倍速で取る140 BPMのスロージャングルが登場したり、DUBSTEP/ポストDUBSTEP周辺のDJがセットの後半でJUNGLEをかけ出したり(パーティーの最後は朝JUNGLEタイム!っていう流れは昔からありましたが)。当時を知っている大人や当時を知らないキッズに、JUNGLEがまたフレッシュに聞こえたのではないでしょうか。また、サウンド面と呼応して、テクノロジー面ではYouTubeなど過去音源を誰もが手軽に探せて聞けるメディアの普及も大きな要因ではないでしょうか。JUNGLEの曲はネット上に山ほど転がっているし、当時のMIXだって聞けるし。


JUNGLEとDNBのハイブリッドであるDubwiseについてはどう思われていますか?

D. 昔からやっている事はそんなに変わってないけどね。

Y. DubwiseはJUNGLEって言ってもいいんじゃないかな。でも、ハイブリッドでは無い。展開が簡単がゆえに目立つのと使い勝手が良いのが多い。

D. 同じプロデューサーでも打ち方が激しいのや少ないのもあったりして、その辺の論争が難しい(笑)。単純に言うとDNBアーティストもJUNGLISTだと思っていて僕も自分の事をDNBの人ってよりもJUNGLISTだと思っている。Aerosoulってブランドが出していた「Junglist Movement」のTシャツはDNBの人も着てた。根っことかアイディンティティの部分でJUNGLISTって思ってる人は多いと思う。
日本のクラブシーンに関してはヒップホップやレゲエは勿論確立されているんだけど、テクノやハウスの4つ打ち勢に関してはこの野郎!っていうのは今でもあって。やっている人達には友達も居て仲も良いし音楽の表現としてはいいんだけど。メジャーになりたいってのは売れたい事じゃないけど、例えばタクシーの運ちゃんともJUNGLEの話が出来たりラジオから流れたらいいなって。そういう国になるといい。ちょっと前でいうとベースミュージックっていう括りは連帯の言葉として機能していてジャンルではなくて小国連合というかマイノリティ連合というか。サウンドのカテゴリとか中身に関してのアイディンティティというよりも、ブレイクビーツとヘヴィーなベースだけでいいって人は皆友達みたいな(笑)。

Y.  俺からしたらDNBの人もJUNGLISTですからね。BPMとか進行のスピードで言えば違いは無いし最終到達点も似ている。ビートを刻んでいるか刻んでいないかくらい。個人的にDXさんが言ったブレイクビーツとヘヴィーなベースだけというのは凄く解る。俺の中でのJUNGLEはブレイクビーツの刻みであってバカでかいベースが出たら最高ってのが根本だから。アートフォームとか精神性よりもそういった根本的な所でJUNGLISTは成立している。長年やっていればその人のスタイルになるし、色々なJUNGLISTのスタイルがある。UKだとDubstepを通過した後の若手がベテランのDNBプロデューサーをフックアップしていってまた混ざっている。世代が変わっているからJUNGLEだけじゃなくてDNBを聴いて育った子が今現れて来ている。

2000年後半にはDBridgeやExit RecordsがAutonomicというスタイルを提示しましたが、Autonomicにはどういった印象がありましたか?

D. 何だかんだで長い事DNBシーンに居るんだけど正直何回も何回も飽き飽きして。本当に。一番は2000年初頭頃かな。テンプレはテンプレでいいけどアイディアが尽きちゃったのと、その頃は音をめちゃくちゃラウドにするっていうラウド合戦があって疲れてしまって。DJでかけてる俺が疲れてるんだからお客さんはもっと疲れてるんだろうって(笑)。テンプレかつラウド化して初期衝動もなくなったDNBにカウンターの様にDubstepが現れて。DBridgeもシーンの真ん中にいてテンプレを煽るようなことをしていた張本人でもあったのに一番飽きちゃっていて、そういう流れの中でAutonomicが生まれたのかな。それによってシーンに新しい風が起きて感じている事が近い人が多かったのか、やっぱそうだったよねって。夫婦の倦怠期を取り戻すというか(笑)。何回もDNBはそういうのがありながらも生きながらえている。

飽きた状態からはどうやって脱却されてるんですか?

D. 脱却方法としてはもう自分で曲を作り始めるとかかな。でも、それだけじゃ満たされないから、ひたすら掘って掘って自分にフィットするのを探し続けるのと、俺もつまらないと思ってたんだよ!っていう若い新しい才能の登場を待つのと両方が無いと。DNBはそれが無いととっくに消えてしまっているジャンルだと思う。ずっと音のクオリティを高めながらアイディアを出し続けてる。それに今はUKだけの時代じゃなくてロシアとかアメリカとかもあるから。

Autonomic以前に実験的なDNBをやっていたプロデューサーは90年代にも居たんでしょうか?

D. 90年代中盤にもいろんなアプローチがあってテッキーなサウンドであったり、打ち込み方も小節数も変だったりとか。そういう人がシーンからはじかれてしまったということもあったと思います。

Samuraiを筆頭に近年のDNBでは作家性が強まってフォーマットを無視した独創的なトラックが生まれていて素晴らしい状況でもあると思うのですが、DNBシーンはこういった実験的なトラックもDNBとして受け入れているのでしょうか?それとも切り離しているんですか?

D. それはどっちもあると思います。例えば日本だとENA君とかは元々はお隣さんだったんだけど、今は隣のテーブルに行って一緒の部屋にいるのかな?って感じがする。でも、ENA君は昔から知ってるのもあるけど根っこにDNBやハードコアな部分を感じるから、そういったエクスペリメンタルな物の中でも特別じゃないかな。UKとかではSamuraiの打ち出し方とかを含めてDNBシーンでは彼等(Samurai)は部屋を出て行ったよねという声を聞きますね。ここ4~5年はSamuraiも含めて余りにも求心的になりすぎてしまって隣の部屋にいってしまったのも多い。

最近のDNBで注目しているのは?

D. アーティストとかレーベルとかよりもここ数年は170BPMの半分の85BPMで取れる曲があって。実はDNBは昔から半分のグルーブで刻むってのは当たり前だったんだけど、それを改めて教えてくれたというかね。最近ではHalfstepでも打ち方がダンスホールっぽいのとかヒップホップとか多種多様で楽しい。そういった物があると一晩の音の楽しみ方として長持ちするし、そういったのを自分も好きで一番かけている。それと、Jump Upって単語も時代時代によって指している意味合いも音も違って。今は世界的にはJump Upがリバイバルしていているのもトピック。VoltageとかBladerunnerとか。

HalfstepはAmitが常に最前に居るイメージですね。

D. Amitは昔からだからね。DIGITALの「Deadline」とか完全にHalfstepなダブワイズ・チューンだし。でも、Halfstepが塊として一気に出てきたのはここ数年かな。

Halfstep以外にも既存のBPMに縛られない新しいスタイルや手法がそれぞれのジャンルで出てきましたよね。

Y. JUNGLEでも140-150で展開するトラックは増えていて。Dead Man's Chestとか。

D. Dead Man's Chestも昔はEvesonって名前でDNBを作ってたんだけど捻くれ者でねー。160BPMにすればいいのに157BPMとかにしていて。捻くれてるなーって(笑)。150BPMの残り香を入れると何とも言えないもっさりとしたものが入るのはあるね。

それでは最後に、お二人にとってJUNGLE/DNBの魅力とは?

Y. ざっくりいうと、JUNGLEは破壊力、DNBは一点に向かってくところが好き。

D. JUNGLE/DNBとは・・・ドラムとベースが交わることで生まれるイリュージョン。そして、それに惹かれた人と人が交わることで生まれる音の磁場。きたろうのBS番組「夕焼け酒場」みたいな締めですが(笑)。

DX
https://twitter.com/dx4649
DJ YAHMAN
https://twitter.com/dj_yahman
写真提供:DJ TECHNORCH
https://twitter.com/technorch